こだわりの一品


 


■第1回 2004.08.26 電卓 CASIO JL-210 (日本製)

これだけPCが普及すると、関数電卓などの高級機を除いて一般の電卓はなんとなく安っぽいイメージがありますが、こういう風になったのもここ20年ほどの出来事。安い表示装置や半導体のおかげで一気に薄型化が進みました。最近では100円ショップでも見かけるほどです。

どの業界の製品にも言えることですが、ある一時期を過ぎると一気にコストダウンが進み、品質を犠牲にしてまでも安くなっていきます。今の電卓はその熟れの果てともいえるでしょう。 今回見つけたこの”CASIO JL-210(実売約5,000円”は、生きた化石とも言える風貌の、頑固なヤツです。いつから販売されているのかは分かりませんが、少なくとも80年代に開発されたものであることは間違いないでしょう。

大きくもなく、小さくもなく、時々卓上で使う方に最適レベルの手のひらよりもちょっと大きいサイズ。ぱっとみて感じることは、”四角い”です。Rを多用した最近のモデルと違って、当時はそれほど設計・金型技術がなく、こういうシンプルなデザインしか作れなかったのかもしれません。しかし質実剛健、こういう道具に無駄なデザインは必要ありません。

最近必ず付いている”税込み(税抜き)”ボタンは当然ながらありません。他の機能もほとんどなく、せいぜいルート計算ができるくらいです。実際使わない機能のボタンは、誤操作防止のためにも無い方が良いと思います。

この電卓は今では珍しい単三電池専用モデルです。太陽電池は付いていません。なぜ付いていないのかは分かりませんが、そういう時代の代物なのでしょう。


キートップを見てください。黒のキーに鮮やかな白の文字。これは”2色成型”と呼ばれるもので、例えると文字が金太郎飴状態で表面が摩耗しても用意には文字が消えないという方式のキートップです。他社製品ではほとんど見かけませんが、CASIO製では現在でも高級機で採用されている方法です。印刷とは違ってそれぞれ金型が必要ですから、非常にコストがかかっていることがわかります。


全景です。こうやって見てみると、ボタン配置が美しいですね。液晶は12桁まで表示できます。1兆以上計算するお金持ちの方以外は問題ないでしょう。ソフトケースがついています。


おまけです。若干キーの内容が異なりますが配置は全く同じで、昔懐かしの電光管モデルが出てきました。こちらはもっと古い時代('70後半〜'80代)のものと思われますが、正体は不明です。電卓マニアは少ないせいか、WEBで検索してもなかなか出てきません。

総評
Excelなどの表計算ソフトはあるし、ちょっとしたことなら携帯で計算できる時代ですが、やはり計算に集中したい時には電卓が必要になります。このタフなJL-210を、文字が擦り切れるまで使い込んでいこうと思います。

P.S.
カシオのHPを参照すると、このモデルは在庫に限りがあるとのことが書いてあるのですが、確認したところ特に生産終了というわけではなく、普通に入手できるみたいですよ。(2006.1.26追記 現在HPからは削除されています。恐らく生産完了になっているものと思われます。)

 

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